SAPPORO Magazine -Issue 01-9 絵描き相川みつぐの発想のルーツとは

Feb 17, 2021

SAPPORO Magazine -Issue 01-9 絵描き相川みつぐの発想のルーツとは

THE KNOT OF ARTS

THE KNOT SAPPOROには数々のコミッションワークが設置されている。
それらを制作したのは北海道に縁のあるアーティストたち。
数々の意欲作がある中で、今回は2人の作家をピックアップ。
発想のルーツをひもとく。

Text by Michiko Kurushima


モコモコとした曲線が増殖する森

 鮮やかなグリーンの中に男と女、車椅子に座る人と親子が描かれている。THE KNOT SAPPOROで、この作品が設置されているのは化粧室の入口。絵画であると同時にサインという機能も兼ね備えている趣向が凝らされた作品だ。
 作者は相川みつぐさん。相川さんと言えば、北海道・白老町にある小さな集落、飛生(とびう)にある森を舞台に毎年開催されている、アートや音楽、演劇などの祭典「TOBIU CAMP」のメインビジュアルを担当していることでも知られる。2011年から飛生の森を描き始めたことが、スタイルを形づくる大きなきっかけとなった。
 「実は木を描くのは苦手でした。記憶を遡ると小学校3年生の写生大会での出来事がトラウマになりました。道庁を描きに行って、レンガの建物は上手に描けたんですが、隣にある木をベタッと塗ってしまって。先生もがっかりしていて」
 仕事でイラストレーションを描くようになり、苦手意識のあった木や草にも取り組んだ。人を棒人間のような記号で表すように、木の枝振りを単純化して描いてみたことが、現在のタッチへとつながった。
 「曲線がモコモコと連続する形は、見ていて気持ちがいいと思います。点描も取り入れていますが、すべてのものは粒子でできていて、点の集まりでしかないというミニマルな発想もありました」
 木や草とわかる一つのパーツを相川さんは自由自在に拡大したり縮小したりしながら、作品を生み出していく。下絵なしで巨大な壁画も描き上げるし、化粧室の絵画のような小さな世界も構築していく。
 「自分の絵ってなんだろうとずっと模索しながら描いていて、森の描き方は、その集大成なんじゃないかと思います」
 次に描いてみたいのは、山の景色と、その中にある不法投棄されたゴミだという。生命力あふれる植物と役目が終ったモノたちを、相川さんはどんなコントラストで描き出すのだろうか。


相川みつぐ

絵描き。1976年生まれ。札幌市在住。2008年より活動をスタート。得意のフリーハンドで描く「線」から生まれる作品は、ハードなものから繊細なものまでタッチを自在に使い分け制作される。2011年より飛生アートコミュニィティー主催の「TOBIU CAMP」のビジュアルを担当している。

Aikawa Mitsugu