SAPPORO Magazine -Issue 01-8 アーティスト国松希根太の発想のルーツとは

Feb 10, 2021

SAPPORO Magazine -Issue 01-8 アーティスト国松希根太の発想のルーツとは

THE KNOT OF ARTS

THE KNOT SAPPOROには数々のコミッションワークが設置されている。
それらを制作したのは北海道に縁のあるアーティストたち。
数々の意欲作がある中で、今回は2人の作家をピックアップ。
発想のルーツをひもとく。

Text by Michiko Kurushima


国松希根太 HORIZON 2020 板にアクリル絵具 300×235.6cm
Photo by Kai Takihara

地球のいちばん遠くには、何が見えるのか?

 空と大地、あるいは海とが分かれるところ。それをわたしたちは地平線・水平線と呼んでいる。けれども、それは果たして“線”なのだろうか?
 「それは線ではなくて目に見える地球のいちばん遠くのところ。球体の裏側を感じる部分です」
 国松希根太さんはHORIZONという絵画シリーズを2009年から描き続けている。広い制作場所を求めスタジオを北海道の白老町に構える中で、徐々にその土地に興味を抱くようになったのがきっかけだ。スタジオ近くの海岸線で撮影した写真がインスピレーションの源となった。
 「雪の積もる砂浜に足跡があって、遠くには船が見えました。この写真の上下を反転させてみたら、空に足跡があるような不思議な風景になり、これを作品にしてみようと思いました」
 このシリーズは、描かれているものは何かを探そうとすると、それが煙のようにスッと消えてしまうような感覚に襲われる。近づいて目を凝らすと、木目の肌合いが現れ、板に描かれた何かを見ているのか、板そのものを見ているのかの領域も溶け出していくようだ。国松さんは、大学で彫刻を専攻し、このシリーズで初めて平面作品に挑戦したという。
 「筆で描くというよりは、色をのせたあとに紙ヤスリで削ぎ落としていく作業の方が多いです。あるものを削り出して空間を表していくという点では彫刻に近いのかもしれません」
 タイトルをあえて英語にしたのは、HORIZONには地平線と水平線の両方の意味があるからだという。
 「イメージを限定するのではなく、観る人が、過去に見ていた光景や記憶みたいなものを重ね合わせられる作品になればと思っています」
 THE KNOT SAPPOROの階段に設置されたのは3枚組みの新作だ。2階のフロアに設置され、見上げることも正面から向かいあうこともでき、光の加減で印象が大きく変わる。さまざまな角度から、違った時間・季節でこの作品と出会ってほしい。あるときは雨模様の海に見えたり、またあるときは強い日差しと渇いた大地に見えたりするかもしれない。


国松希根太

アーティスト。1977年札幌市生まれ。多摩美術大学を卒業後、2002年より飛生アートコミュニティー(北海道、白老町)を拠点に制作活動を行う。近年は、地平線や水平線、山脈などの風景の中に存在する輪郭(境界)を題材に彫刻や絵画などの作品を制作している。飛生アートコミュニティー代表。

Kineta Kunimatsu